3.認知症の種類と初診時の診療の進め方
認知症にはいくつかの種類があります
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http://www.mental-navi.net/ninchisho/rikai/shurui.html
メンタルナビ
ここにはアルツハイマーが50%とありますが、当院の外来診療における実臨床では、
- アルツハイマー型認知症(脳血管障害を合併しているものを含む) 75〜80%
- 脳血管性認知症 5〜10%
- レビー小体型認知症 5〜10%
- その他の認知症(パーキンソン病に伴うもの・アルコール性等) 5%
といった比率になっています。
つまり、ほとんどがアルツハイマー型認知症なので、初診においては
という観点で診療をすすめて行きます。診察や検査で「アルツハイマーらしさが少ない」「アルツハイマー型認知症とは異なる印象を受ける」点が無いかをみていきます。
私の場合、診断を主目的とした初診においては以下の手順で診療を進めることが多いです
- 頭部単純CT検査(MRIを撮る場合は省略)
- 挨拶・受診目的の確認
- 本人に生活史等の確認(同伴者との関係、出生地、兄弟の数、結婚の時期、子供の数・性別・現在の居住地、現在誰と暮らしているか・何の仕事をいつまでしていたか)→認知症が比較的進んだ状況で障害される遠隔記憶がどの程度保たれているかの確認
- 糖尿病・高血圧・「高脂血症」・心臓病・腎臓病等といった、認知症の危険因子である動脈硬化を進める合併症の有無と内服薬の確認
- 食欲・睡眠・便通など、うつ病/うつ状態や身体疾患に起因する異常所見がないかの確認
- 改訂長谷川式簡易知能スケール(HDS-R)【後述】→認知症の早期から障害されることが多い、見当識障害・短期記銘力障害等の確認。その間に、付き添いの方にFAST【後述】の確認
- 診断等の説明
- 必要に応じて採血・MRI(検査室の空きがあれば、当日撮ります)を追加
- MRIを行う場合は、次週以降、改めて診断等の説明
要する時間は概ね10〜30分程度です。一連のやりとりの中で、患者さんの受け答えの方法も診断の材料として観察します。画像検査が無くとも、5番目の段階で8割方どの病型の認知症かという判断が付きますが、症状・経過・画像検査を総合することで診断の精度が上がります。