2.認知症の有病率
認知症の人はどのくらい居るのでしょうか?
下の表をご覧下さい。左側が男性で、右側が女性です。
この表は、臨床的な実感とも合致しています。
つまり、
- 60代前半で認知症:かなり珍しい。若いのに気の毒
- 60代後半で認知症:割と早い
- 70代前半で認知症:ある
- 70代後半で認知症:初期の診断例としては、一番多い
- 80代前半で認知症:あって当たり前
- 80代後半で認知症:無い方が珍しい
- 90代以降の認知症:ちゃんと調べれば、全員認知症
こんな感じです。
上の表を、ざっくり別のグラフに示すとこうなります。
患者さん(や、そのご家族)にはこんな説明をしています。
- 60代前半では、2%くらいが認知症
- そして5才年を取るごとに、ざっくりいって倍ぐらいずつ増えていく
- 90代になればほぼ全員、100才以上は全員認知症になる
- つまり、人は長生きすれば「全員」認知症になる(現代の医学では)
- (昔は60代で皆死んでいたので、こんな問題は生じなかった)
- 目がかすむ、皮膚がシワシワになる、腰が曲がる、膝や肩が痛くなる等々と同様、「老化」と捉えていただければよい
- 認知症の前段階(MCI)の人は、更にこの数より多い
- 同じ認知症といっても、いろいろな程度がある。ある日突然、重い認知症になるわけではない
- 例えば、60代前半で認知症を発症して、80才になった人はかなり進行している状態だろう