2.認知症の有病率

認知症の人はどのくらい居るのでしょうか?
下の表をご覧下さい。左側が男性で、右側が女性です。


臨床神経 2012;52:962-964

この表は、臨床的な実感とも合致しています。
つまり、

  • 60代前半で認知症:かなり珍しい。若いのに気の毒
  • 60代後半で認知症:割と早い
  • 70代前半で認知症:ある
  • 70代後半で認知症:初期の診断例としては、一番多い
  • 80代前半で認知症:あって当たり前
  • 80代後半で認知症:無い方が珍しい
  • 90代以降の認知症:ちゃんと調べれば、全員認知症

こんな感じです。

上の表を、ざっくり別のグラフに示すとこうなります。

患者さん(や、そのご家族)にはこんな説明をしています。

  • 60代前半では、2%くらいが認知症
  • そして5才年を取るごとに、ざっくりいって倍ぐらいずつ増えていく
  • 90代になればほぼ全員、100才以上は全員認知症になる
  • つまり、人は長生きすれば「全員」認知症になる(現代の医学では)
  • (昔は60代で皆死んでいたので、こんな問題は生じなかった)
  • 目がかすむ、皮膚がシワシワになる、腰が曲がる、膝や肩が痛くなる等々と同様、「老化」と捉えていただければよい
  • 認知症の前段階(MCI)の人は、更にこの数より多い
  • 同じ認知症といっても、いろいろな程度がある。ある日突然、重い認知症になるわけではない
  • 例えば、60代前半で認知症を発症して、80才になった人はかなり進行している状態だろう

*1:男性の100才以上が全員黄色(MCI)となっていますが、オレンジ(認知症)の間違いだと思います