認知症一般

10.中核症状と周辺症状

定番の表です 中核症状は、認知症におよそ必ず出現する症状です(認知症の定義そのものの症状です)。 中核症状から、判断力の低下や、性格変化が引き起こされ、これまでの生活が成立しにくくなります。中核症状に関しては、アリセプト(ドネペジル)等の薬…

9.年相応の物忘れと、認知症の違い

前項FAST Stage 2 は「年相応の物忘れ」にあたります。それでは、年相応の物忘れとは何でしょうか。 年相応の物忘れの特徴として、 ふとした拍子に思い出す 物忘れの自覚はある(忘れたということは覚えている) 生活に支障は来さない 食事の内容は忘れるが…

8.更にFAST詳しく

以下に引用した表は、FAST Stageが高い(進行した)状態の変遷がについてより詳しく説明してあります。想定される期間や、「最後は寝たきりになる」ような事が書いてありますが、病状の進行は人によって差があります。また発症年齢によっては、末期のStage…

7.『認知症疾患進展の法則性とヒトのnatural history』

『スフィンクスの謎「朝には四つ足、昼には二本足、夜には三つ足で歩くものはなにか」への答えは”ヒト”であるが、現代では”晩にはまた四つ足”を追加すべきではないだろうか。』 臨床をやっていて、漠然と考えていたことそのものスバリを、宇高不可思先生が老…

6.病期判定の続きと小児発達との対比

もうちょっと具体的な症状と、FASTならびにHDS-R、更に小児発達との関連を示します。*1を改変 臨床診断(ステージ) FAST MMSE HDS-R*2 臨床的特徴 小児における平均達成時期(私案) 軽度AD 4 19.6±3.9 19.1±5.0 年月日の感覚が不確か(時間の見当識障害)…

5.FAST / 病期判定

認知症の外来をやっていると、「この先どのように症状が進んでいくのか」と尋ねられることがよくあります。今まで当たり前のようにできていた事ができなくなり、新しい記憶だけではなく昔の記憶も脱落していくのですから、その不安や恐怖感は当然です。患者…

4.改訂長谷川式簡易知能スケール(HDS-R)

「長谷川式」は本邦の長谷川和夫先生が開発した、3〜5分くらいで行うことができる簡易検査です。満点は30点。 オリジナルはこちら↓ http://www.treatneuro.com/wp-content/uploads/hdsr.pdf 以下は実際の診察での言い回しを取り入れています。場合により検査…

3.認知症の種類と初診時の診療の進め方

認知症にはいくつかの種類があります http://www.mental-navi.net/figs/fig_nc_n203.gif http://www.mental-navi.net/ninchisho/rikai/shurui.html メンタルナビ ここにはアルツハイマーが50%とありますが、当院の外来診療における実臨床では、 アルツハイマ…

2.認知症の有病率

認知症の人はどのくらい居るのでしょうか? 下の表をご覧下さい。左側が男性で、右側が女性です。 緑=正常 オレンジ色=認知症*1 臨床神経 2012;52:962-964この表は、臨床的な実感とも合致しています。 つまり、 60代前半で認知症:かなり珍しい。若いのに…

1.認知症とは

認知症が何かということについては、日本神経学会のHPや、DSMを見ると書いてありますが、おおざっぱにいって、 物忘れ(記憶力の低下、時間→場所→人の感覚が曖昧になる)があって 日常生活が成立しにくくなる 病気である といったところです。 「日常生活…